医療の領域でも、ブロックチェーン技術を用いた動きが加速しています。
国としても、web3を推進する動きとなっており、特に医療の領域はブロックチェーンと相性が良いです。
ここでは、医療×ブロックチェーンの事例について紹介します。
医療×ブロックチェーンの期待
医療データの所有
ブロックチェーンを活用すれば、患者自身が医療データを所有できるようになります。
個人のデータ所有により、医療データを他の医療機関に見せることが容易になります。
患者データを自由に持ち運び、再利用できるようになると、スムーズに他院での診察・施術を受ける事が出来ます。
医療の品質向上
ブロックチェーンを活用する事で、診察・施術歴などを把握することができます。
これまで不透明だった情報が透明化されることで、医療サービスの品質向上につなげられます。
医療を提供する側にとっては、ある意味プレッシャーかもしれませんが、本来医療は患者主体であるべきであり、海外では患者主体の医療が行われており、日本の目指すべき1つのゴールとも言えるでしょう。
研究・医療の発展
医療において、ブロックチェーンが活用されると、今まで使用できなかった画像などの医療データを研究に使用できるようになり、研究が加速するという期待もあります。
また、研究が加速すれば、世界に遅れていると言われている医療AI分野でも日本の活躍の糸口になり得るかもしれません。
医療×ブロックチェーンの事例
PCR PASS(日本)

「PCR PASS」は、新型コロナウイルスPCR検査時に発行可能な検査証明書をNFT化します。
ブロックチェーン技術を用いて『暗号化』『他者の改竄ができない』『閲覧を限定』『認証』といった多様な機能を持ち合わせたPCR検査結果のデジタル証明書Webアプリケーションです。
この「PCR PASS」はQRコードで検査証明の有無を確認することができるようにしたものです。
2021年4月に、便利さとセキュリティに特化したブロックチェーン身分証「PASS」を運営する株式会社Xyonは、株式会社青十字製薬と業務提携し、「PCR PASS」の開発を行うと発表致しました。
そして、一般財団法人日本医療推進財団は、2021年7月よりブロックチェーン技術を用いたPCR検査結果デジタル証明書Webアプリケーション『PCR PASS(特許出願手続中)』β版をリリースしています。
procredex(アメリカ)
procredexは、Web3の技術を用いて医療従事者の資格や過去の実績をオープンにし、患者がそのデータを閲覧可能にしました。
これにより、患者自身がどの医療機関を受診するのかを自分で決めやすくなります。
日本では、医療従事者個人の治療実績などを公開する事は許可されていません。唯一、手術件数のみ病院単位で公開する事が許可されています。
日本人は、患者に情報があまり公開されないため、患者自身が治療方針を決定するという点において、医療従事者に主導権があります。
しかし、本来は患者側から主体的に治療方針を決めるべきです。
procredexのように、資格や過去の実績がオープンになれば、日本でも患者主体の医療に近づけるように思います。
Medicalchain(イギリス)
Medicalchainは、数あるブロックチェーンプロジェクトの中でも、医療分野を対象にしたプロジェクトです。
具体的には、極めてプライバシー性の高い、患者の診断記録などをブロックチェーンで管理するというものです。
患者自身が医療データを所有することが出来れば、様々な医療機関を受診する際、スムーズに情報共有が行えるため、円滑な診療の提供が可能になります。
トークン名はMedTokenであり、通貨の略号にはMTN、プラットフォームにはイーサリアムが利用されています。
サスメド(日本)
SUSMED(サスメド)は、2022年6月にアキュリスファーマ株式会社と、企業治験として世界初となるブロックチェーン技術を⽤いた治験の実施に関する契約を締結したことを発表しました。詳しくはこちら
サスメドは、ブロックチェーン技術を用いた臨床試験向けのシステム開発を行い、臨床試験の効率化を目指しています。
この研究が進めば、新薬の早期開発などにも役立ち、医療の進歩が加速すると考えられます。
日本における医療×ブロックチェーンの最先端であり、世界においても臨床試験×ブロックチェーンという所で先頭を走っている取り組みです。
Callisto(日本)
東大発スタートアップCallistoは、医療AIの研究開発にすぐ使える、多様な医用画像データを集約しシェアするプラットフォームを医療施設と共に創っています。
医療AI×ブロックチェーンは非常に相性が良く、日本を支える最後の切り札としてCallistoは期待されています。
医療AIの分野において、日本は非常に遅れており、認可されている製品数は数十倍の差があります。
しかし、日本はCT・MRIなどの保有台数は世界一、画像の質もとても良いと言われています。
Callistoの取り組みにより、医療データが使えるようになると研究が加速し、日本の医療AIも発展する事でしょう。
まとめ
今回の記事では、医療×ブロックチェーン・web3の事例について紹介しました。
まだまだ、追い切れていない部分も多いですが、注目されている分野であり、今後も勉強していきたいと思います。
随時、新しい情報が入り次第、更新したいと思います。